京都府議会新政会 議員活動報告
本会議

 
平成18年12月定例会で、稲荷義晴議員が京都府政の諸課題について代表質問を行いました。
 
 冒頭の発言
   新政会の稲荷義晴でございます。私は会派を代表いたしまして、さきの通告どおり数点について、知事並びに関係理事者に質問いたしますが、時間に制約がございますので一括質問といたします。

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 府政運営について
   まず初めに、府政運営についてお尋ねをいたします。
 本府の平成17年度決算状況では、府税収入が、景気の回復基調を受けまして、前年同期に比べ増収には転じましたものの、本格的な回復にはほど遠く、一方で、山積する行政課題や急増する退職手当を踏まえますと、今後の本府の財政運営は当面予断を許さない状況下にあります。このような渦中で、山田知事におかれましては、府民サービスをしっかり確保していくために、「経営改革プラン」に基づく取り組みを精力的に推進いただいているところであり、その実行効果に大いに期待をいたしますとともに、知事のその行政手腕を高く評価するものであります。
 さて、現在、来年度の予算編成に向けた作業が鋭意進められているところでありますが、我が新政会は、先日、平成19年度の予算編成に関し、「中小企業の経営再建」「少子・高齢化対策の推進」、さらには「地球温暖化への対応」を初め、179項目に及ぶ要望を提出したところであります。とりわけ厳しい財政状況のもとではありますが、要請事項への積極的な対応に努められますとともに、「安心・安全、希望の京都」の実現につながる、すばらしい予算編成を実現していただきますよう要望しておきたいと存じます。
 まずは、広域振興局のあり方についてお尋ねをいたします。
 平成16年5月に、地方振興局等の再編で、12の地方振興局が、山城・南丹・中丹・丹後と、4つの広域振興局に再編整備がされたところでありますが、その後、それぞれの広域振興局管内におきましては、再編初年度に当たります平成16年度に、市町村やNPO、地域住民との連携・協調を図りながら、地域の実情に即した「地域振興計画」が作成をされ、さらに翌17年度からは、この計画を着実に実行するための予算の配分がされるなど、具体的な地域戦略が精力的に展開されているとお聞きいたしているところであります。
 しかし、一方では、再編後の問題・課題も数多く、とりわけ保健所や土木事務所などでは、旧態依然の本庁と直結した典型的な縦割り型の事務執行が行われ、管内の府民サービスを束ねなければならないはずの広域振興局としての機能が必ずしも果たせておらず、さらには本庁各部局の予算に、直接府民との接点であるはずの広域振興局の意向が十二分に反映されていない事業も散見されるのが実情なのであります。
 私は、そろそろ再編3年目を迎えた広域振興局のその責任と役割を果たすため、予算配分や局長権限をさらに拡大させるとともに、本庁や市町村との一層の連携・協調を図り、現地・現場主義を徹底した、府民の期待にこたえる体制づくりこそが最も重要ではないかと考えるのであります。
 そこで、知事にお伺いをいたします。知事御自身、再編後の広域振興局のあり方について、どのような点に問題意識をお持ちなのか、率直なお気持ちをお聞かせ願いたく存じます。
 さらに、今後、現地・現場を重視した府民目線での府政運営をどのように進めていかれるおつもりなのか、御所見をお伺いいたします。
 
(知事)  稲荷議員の御質問にお答えいたします。
 稲荷議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、私の府政運営につきまして高い評価を賜り、厚くお礼を申し上げたいと思います。
 まず、広域振興局のあり方についてでありますが、交通・情報通信手段の発達など社会情勢の大きな変化を踏まえながら、複雑・多様化する行政需要に積極的に対応できる府庁づくりを進めるために、平成16年5月に地方振興局等の再編を実施し、本庁から約1,300の権限を委譲いたしまして、できるだけ府民に近い現地・現場で問題解決能力を高めるとともに、専門的かつ効果的な執行体制を強化するため、広域統合を行ったところであります。
 特に、市町村を初め、地域との連携を強め、地域の特性に合った行政を進めるため、再編後は各広域振興局で独自の地域振興計画を策定し、現地・現場主義に立脚した地域戦略の展開を図ってきたところであります。
 再編3年目を迎える中で、各広域振興局では現地・現場主義が順次定着してまいりまして、例えば南丹ですと、この前、子供の駅伝とか南丹のおしゃれ観光とか、さまざまな単独事業も大幅に今、増加するなど、特色ある地域づくりの成果が出てきたというふうに考えております。御指摘のような問題点につきましては、まさに同感でありまして、こうした広域振興局の試みが定着すればするほど、広域振興局がさらに地域における独自性を深めていくための、より独立した予算執行、そして事業執行を図るための本庁との調整が必要になってきているところであります。
 そこで、これから予算編成の過程で、さらに本庁と広域振興局の連携を強化いたしまして、現地・現場の声を予算に反映させること、そして、再編により権限委譲された事業執行を、現地のニーズに合わせ局全体としてコーディネートいたしまして、しっかりとつくり上げていく局長の総合企画、総合調整機能の強化ということが課題になってくるというふうに思っております。
 このため、本年度から、予算編成過程の中で、局長と本庁部長の予算調整会議を既に開催をしておりますけれども、さらに私の知事査定の場面におきましても、局長の意見を踏まえるための機会を設けまして、本庁各部の予算に係る局内の重点施策について、より広域振興局の立場を重視する観点からの査定を行うこととしており、その上で、局長の総合企画・調整機能をさらに強めるように努めてまいりたいと考えております。
 また、各広域振興局の地域振興計画のさらなる具体化を図るために、重点枠を拡充いたしまして、本庁による横並びから、各広域振興局が府政をリードする地域重視型へかじを切ることによりまして、現地・現場主義の府政運営を推進し、府民の皆様や市町村の皆様の期待にこたえていくように努めてまいりたいと考えております。
   ところで、円滑な府政運営にとって、市町村との協調・連携は極めて重要な課題であります。そこで次に、市町村合併及び市町村支援についてお尋ねいたします。
 地方分権の時代、地域住民に最も身近な自治体である市町村の果たすべき役割がますます重要になってきていることは、周知のとおりであります。こうした中、府内におきましては、平成16年4月、旧丹後6町が合併し、京丹後市が誕生したのを皮切りに、これまでに合計6つの地域におきまして市町村合併が実現し、さらに来年3月には、木津町・加茂町・山城町の合併によりまして木津川市が誕生いたしますと、府内に44あった市町村が、26市町村に再編されることになるのであります。
 合併市町におきましては、合併後の地域振興や新しいまちづくりに寄せる住民の期待が膨らむ一方で、周辺部の振興策をどう再構築していくのか、また、住民の声をいかに行政に反映させていくのかなど、あらゆる行政課題に対して真摯に向き合っていかなければならないと思うのであります。
 そこで、お尋ねをいたします。 合併市町がさらに発展していくためには、やはり地域振興を初めとしたさまざまな分野で本府の積極的な支援が期待されているところでありますが、合併市町に対する支援について、知事の基本的なお考えをお伺いいたします。
 一方、さまざまな地域事情から合併には至らなかった市町村も存在するのであります。特に小規模市町村におきましては、職員定数の削減を初めさまざまな行政課題に取り組んでいるものの、もともと財政規模そのものが脆弱で、その実行効果も極めて薄く、おのずと限界を感じざるを得ないのが実情ではないでしょうか。私は、地方自治体が再建団体に転落した場合、民間企業と同様の再建策が講じられないことへの危機感を強く抱く一人ですが、これらの小規模市町村に対する本府の積極的な支援策づくりの議論が急務と考えますが、知事はどのようにお考えか、御所見をお伺いいたします。
 さらに、市町村に共通する課題といたしまして、私が心配しております一つに、地域における住民間のつながりと申しますか、地域コミュニティーが弱くなってきているのではないかということなのであります。「隣は何をする人ぞ」が、今では、都会だけではなくて、農山村を含むあらゆる地域に当てはまるようになってきており、このことが今、地域で起こっていますさまざまな問題にもつながっているのではないかと思うのであります。
 そこで、このような地域コミュニティーの問題について知事はどのようにお考えなのか、あわせて御所見をお伺いいたします。
 
(知事)  次に、市町村合併についてでありますけれども、これまで合併が行われた市町からは、合併後のまちづくりを円滑に進めていくために、合併特例債などを柔軟に適用して必要な施設整備等を行えるようにしてほしいとか、また、地域の個性を生かしたソフト事業が続けられるよう未来づくり交付金などを活用して応援してほしいですとか、地域の一体性を確保するための交通網や情報インフラがまだまだ不十分なのでこのあたりを強化してほしい、といったような要望が寄せられているところであります。
 私どもは、こうした市町村の意見を踏まえまして、合併市町において合併効果を最大限に発揮できるよう、交流基盤の整備を府といたしましても進めますとともに、合併特例債や未来づくり交付金により、合併のデメリットをできるだけ抑えつつ、メリットを確実に享受できるよう支援を行ってまいりたいと思っております。そしてさらに、今後の住民の積極的なまちづくりに対する行動・参画を支援し、後押しするために、きめ細かな地域ニーズに対応した行政サービスや新しい地域づくりの促進に向けて、引き続き人的・財政的な支援を実施してまいりたいと考えております。
 小規模市町村への支援につきましても、合併特例債を除けば、基本的に体制は同じであるというふうに考えておりますけれども、ただ、地方交付税の削減などにより、とりわけ小規模な市町村の財政状況は非常に悪化をしております。このため、府といたしましては、「京都府・市町村行財政連携推進会議」を設置いたしまして、財政健全化の議論を進める中で、小規模市町村の事務を抜本的に見直して連携を図る取り組み、府と市町村の業務支援システムの共同導入、そして税業務の共同処理などの取り組みを推進してきたところであります。
 また同時に、今後、国の出方次第によりまして財政環境が一段と深刻さを増していくことが予想されますだけに、先月の11日に、府議会の皆様とともに「真の地方分権の実現をめざす京都総決起大会」を開催いたしまして、市町村長や議会関係者とも一致団結して、地方の自立のための地方行財政制度の確立を、国に対しても積極的に求めてまいったところであります。
 今後、さらに推進会議での議論も踏まえつつ、小規模市町村の財政健全化に向けた取り組みについて、府といたしましても積極的に支援を講じていきたいというふうに考えております。さらに、こうした市町村行政の振興のためには地域住民の積極的な取り組みが求められておりますので、過疎・高齢化や都市化の進行の中で地域の連帯力の低下が懸念されている現在におきましては、住民の皆さんの力が発揮できるように地域力の再生も、私は重要な課題になってくるというふうに考えております。
 このため、本年7月の京都府市町村長会議において、市町村長さんからも積極的な問題提起がありましたので、これを踏まえ、府といたしましても、このたび、市町村長さんを初め、地域活動の担い手や学識経験者から成ります「地域力再生プロジェクト推進会議」を立ち上げまして、今後、この推進会議を中心に、新しい時代の地域コミュニティーのあり方、地域力再生を図るための施策などについて検討を進め、平成19年度にも具体的な取り組みの実施を一部目指してまいりたいというふうに考えております。

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 教育問題について
   次に、教育問題についてお伺いいたします。
 今、学校では、「いじめ」を苦にした子供が自殺をするという大変悲しい出来事が続発しているのであります。福岡県では中学2年生の男子生徒が、さらには岐阜県では中学2年生の女子生徒が、みずからの命を絶ったのであります。その後も多くの命が相次いで失われていることは御承知のとおりでありますが、「こんな悲しい出来事は最後にしなければならない」と、だれもがそう心に誓うはずなのであります。「本当にいじめがあったのか」「いじめが自殺の原因だったのか」など、まるで犯人捜しのような議論ばかりが繰り返される現実には、何とも言えないむなしさを禁じ得ないのであります。今こそ、なぜ未来ある子供が死を選ばなければならなかったのかということを真剣に問い直し、今後の取り組みに生かさなければならないと思うのであります。その際、まず考えられるのが、カウンセリング機能を中心としたフォロー体制の充実なのであります。
 そこで、教育長にお伺いいたします。
 最近では、暴力によるいじめではなく言葉によるいじめなど、いわば「精神的ないじめ」が多いとお聞きしているのでありますが、こうした「いじめの質」の変化は、親や教員が兆候に気づくのがおくれることに直結していると思うのであります。従来にも増して、自力で越えられない壁に直面した子供のSOS信号を敏感にキャッチし、素早いフォローを行うことが喫緊の課題と考えますが、まずこの点について、教育長の御所見をお聞かせください。
 さて、こうしたフォロー体制だけですべてが解決するかといえば、私は何かが足りないと思うのであります。そのことを申し述べる前に、私の少年時代のお話をいたしたいと思います。古来から、「人は見かけによらない」と申します。誤解されている向きが多分にあると存じますが、子供のころの私は、このこわもてとは裏腹に比較的おとなしい性格だったので、どちらかといえばいじめられやすいタイプであったかもしれません。事実、かばんや靴を隠されたり、時には弁当を食べられるといった、まことに情けないこともありました。しかし、成長するにつれ立場が逆転したようにも思うのであります。当時の嫌な思いは、今でもその記憶が鮮明に残っているのであります。しかし、そうした成長過程を経て、今日、先輩議員諸兄の叱咤激励に臆することなく、このような府議会本会議場で代表質問をさせていただき、それもこれも、先生や親から「何くそ」という強い心を持つことの大切さを教えられたおかげだと感謝しているのであります。
 子供たちが成長する過程において、けんかをすることは当たり前のことで、また、遊び感覚で物を奪い合うことも考えられるのであります。我々大人でさえも陰口をたたくことはあるわけで、子供ならばなおさらではないでしょうか。皆さんにも、大なり小なり私のような経験は必ずあると思うのであります。そうした経験を経て今日があるのではないでしょうか。
 このように申しますと、何かいじめを肯定するように聞こえるかもしれませんが、決してそうではありません。いじめは集団で行われることが多いわけでありますが、いじめの芽を摘むことが極めて難しいのがまた現実でありましょう。すなわち、自分が次の標的になるのをおそれ、周りがいじめを抑止できないどころか、いじめに加担する側に回ることが、深刻な事態をさらに誘発する要因なのであります。いじめる側も、勇気を持っていじめを制止する心の強さをはぐくむことが極めて重要ではないでしょうか。
 いじめの問題の難しさは、どこからがいじめになるのかはっきりしないこと、また、いじめを受けるつらさが子供の性格によって千差万別であるということなのであります。すなわち、幾ら先生がきめ細かな指導をしたといたしましても、完全になくすことはできないと私は考えるのであります。先日、地元でお会いをいたしましたあるベテランの先生も、同じことを話された後、「いじめはなくならないものとして対応しなければならない」と続けられました。全く同感なのであります。
 このように考えますと、私は、前述のように、「何くそ」の「たくましい心」と、「いじめはやめろ」と勇気を持って制止ができる「強い心」を、すべての子供たちにはぐくむ努力を怠ってはならないと思料するのであります。本来であれば、私の信念でもあります武道の奨励による「心の教育」についてお伺いをするところでありますが、時間の制約がございますので次回にお尋ねすることといたしまして、ここでは「強くたくましい心」の育成について、教育長の率直な御意見をお伺いいたします。
 
(教育長)  稲荷議員の御質問にお答えいたします。
 いじめの問題についてでありますが、いじめの早期発見・早期対応を図るためには、すべての教員が、子供たちが発する心のサインを敏感に受けとめるとともに、いかなる小さないじめも見逃さない鋭い感性を持って、迅速かつ適切に指導できる能力を高めることが何よりも大切であると考えております。このため、さきに実施いたしました「いじめの問題の総点検」にあわせ、各学校においてスクールカウンセラー等を活用した研修を実施するなど、その取り組みの徹底を図ってきたところであります。
 同時に、こうした各教員の能力の向上に加え、校長を中心とした指導体制のもとで、教職員が一丸となった組織的な取り組みを一層充実し、絶対にいじめを許さない学校づくりを進めることが必要であります。そのため、生徒指導を担当する中核教員を対象とした研修を行うとともに、臨床心理士による教員向けの巡回相談を実施するための予算を今議会にお願いしているところであり、今後とも、市町村教育委員会と連携し、いじめはいつでもどこでも起こり得るとの認識を共有して、いじめの問題の解決に全力で取り組んでまいります。
 次に、強くたくましい心の育成についてでありますが、すべての子供たちが夢や希望を持って未来を切り開いていくためには、激動の時代を生き抜いていく強くたくましい心の育成が大切であると考えております。同時に、他人を思いやる優しさや、不正を許さない意志、弱い立場にある人を守る勇気を伴ってこそ、人間としてともに「生きる力」が身についたと言えるものと考えており、そういった力は、学校はもちろんのこと、家庭や地域社会における自然体験や社会体験など、さまざまな活動の中ではぐくまれるものと考えております。
 現在、各学校では、道徳などの授業はもとより、さまざまな体験活動や部活動など、あらゆる教育活動を通してその育成に取り組んでおりますが、今後とも、学校・家庭・地域社会がより一層きずなを深める中で、たくましく豊かな心の育成が図られるよう努めてまいりたいと存じます。
   

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 府民生活の「安心・安全」について
   セーフティネットについて
   次に、府民生活の安心・安全についてお尋ねをいたします。
 まず、私の地元・亀岡市におきまして、WHOの全国初の認定に向けた取り組みが推進されているところのセーフティーネットについて、お伺いをいたします。
 我が国が少子・高齢化社会へと進んでいく中で、さまざまな問題が指摘されて久しいところでありますが、府民一人一人の暮らしが、将来にわたり安心でき、また希望の持てるものとなるような制度や仕組みというものは、常に検証され、見直さなければならないのは言をまたないのであります。
 私たち日本人は、古来より数多くの災禍や苦難に見舞われながらも、それを地域で力を合わせて乗り越えることによって、共同体としての知恵を身につけてまいりました。そして、そのことが地域社会で脈々と受け継がれ、知らず知らずの間に、地域社会に暮らす私たちの深い意識の中に、「安心・安全・安住」のきずなを培ってきたと思うのであります。
 しかしながら、戦後、産業構造の転換で、人々の生活の主流を都市やその周辺に移らせ、地方の都市も一定の規模を持つようになり、それを取り巻く農村部も含め、経済的には総じて豊かになったと言われておりますが、しかし、その反面、家族の単位や家庭の過ごし方は、随分とさま変わりしたと思うのであります。地域の共同体と各家庭のきずなが疎遠になってしまったのではないか、効率的な生活習慣の一方で地域コミュニティーが希薄になったのではないか、そしてそのことが、ややもすれば安全な地域社会のルールを崩壊させ、子供やお年寄りが安心できる居場所を喪失させているのではないかと危惧しているのは、私一人ではないと思うのであります。
 日ごろ報道で目にする事件や事故を考えますと、個人のプライバシーを重んずる余りに、住民同士の対話や助け合いが途絶えてしまった、あるいは子供の養育力のない家庭がふえている、また地域全体で子供たちをはぐくむことができなくなった、さらには高齢者が孤独な死を遂げるなど、さまざまなひずみが生じている現実を目の当たりにするとき、このような不安が蔓延する社会をつくるために、戦後、日本人は汗を流してきたわけではないと思うのであります。
 そこで、お尋ねをいたします。現在、京都府では、行政と地域住民が協働して、地域に根差した安心・安全なまちづくりを進める目的で取り組まれておりますセーフコミュニティーが目指すべきところは何であるのか、お聞かせを願います。また、それは真の地域の安心・安全につながっていくものであるのかどうなのか、知事の御所見をお聞かせください。
 さらに、現在、セーフコミュニティーのモデル事業が私の地元・亀岡市で取り組まれておりますが、その事業の進捗状況並びに推進する上でどのような課題があるのか、お伺いをいたします。また、このモデル事業を踏まえて、今後どのような将来ビジョンを描いておられるのか、知事の御所見をお聞かせ願いたく存じます。
 
(知事)  次に、セーフコミュニティーについてであります。いろいろな府民の安心・安全を脅かす事件が連日報道されているところでありますけれども、セーフコミュニティーというのは、こうした安全を脅かす事象はしっかりと分析して、その対策を総合的に講じることによって、もっと予防できるんじゃないかという考えでございまして、つまり、分析をすることによって地域の特性が出てくる、さらにその対策というのは、地域の人たちがしっかりと連携をすることによってできるという考え方でございます。
 ですから、不慮の事故によるけがや、自殺、虐待、犯罪などを、特に病院や警察などの記録を集約して、その客観的なデータをつくって分析していく。そしてその上で、行政・住民・地域活動グループ・NPOなどが参画する横断的な推進体制を設置して、これによって住民がデータを共有した形で、何が今この地域で問題なのかということを理解して、対策を総合的に展開・検証していくというシステムでございます。さらに、こうした取り組みをWHOがつくる世界的なネットワークが認証するという、非常に科学的で客観的なアプローチを試みることによって、安心・安全を推進しようというものであります。
 京都府では、このセーフコミュニティーの取り組みを、まず亀岡市をモデル地域として推進しているところであります。亀岡市におきましては、これまでから、市民とともに、地域住民による地域安全見守り隊、地域リーダーによる健康づくり体操などの高齢者介護予防対策、救急講習を受講した市民救急員の養成など、けがや事故を予防する対策に取り組まれております。また先月末には、亀岡市長が会長となりまして、自治会や医師会などさまざまな安心・安全のための活動団体が参画する「セーフコミュニティ推進協議会」を設置するなど、セーフコミュニティーの基本的な体制が今、整備されつつあります。
 WHOの認証取得のためには、今後、さらに外傷データを収集・分析して、その結果に基づいたけがや事故の予防対策に取り組み、その効果を評価していくための仕組みづくりの整備が必要でありまして、京都府といたしましても、亀岡市と連携してしっかりと進め、来年には日本初の認証取得を目指したいというふうに考えております。  そして、その上で、亀岡市における経験を生かし、このセーフコミュニティーの考え方の普及を図って、すべての府民の皆さんが真に安心して安全に暮らすことのできる京都府づくりに邁進をしてまいりたいというふうに考えております。
   鉄道駅舎のバリアフリー化対策について
   次に、安心・安全なまちづくりの一環とも言える、鉄道駅舎のバリアフリー化対策についてお伺いをいたします。
 本格的な高齢化社会を迎えるとともに、ノーマライゼーションが叫ばれる今日、高齢者や障害のある方が生き生きとして暮らし、自分の意思で自由に移動ができ、また社会参加が自然にできるようにするための環境整備やバリアフリー化の推進は、極めて重要な行政課題でもあると認識をしているところであります。特に、多くの方々が利用される鉄道施設のバリアフリー化は、極めて重要な課題であります。
 ところで、この対策は、本府でも平成7年度から、「福祉のまちづくり条例」に基づきまして、鉄道事業者や市町村に対する支援策を精力的に実施され、さらに平成12年11月には、「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」、いわゆる「交通バリアフリー法」が施行されてからも、引き続いて国や市町村と協調し、積極的に推進していただき、知事のその姿勢を高く評価するものであります。
 そこで、お尋ねをいたします。 国交省が既に示しておりますところの移動円滑化の促進に関する基本方針では、一日の平均利用者数が5,000人を上回る駅につきましては、平成22年までにバリアフリー化を実現することが掲げられておりますが、府内の鉄道駅舎のバリアフリー化の現段階での進捗状況はどのようになっているのか、お尋ねをいたします。
 また、今後の鉄道駅舎のバリアフリー化の推進について、本府として、市町村や、特に民鉄との連携をどのように図り推進されるおつもりか、知事のお考えをお聞かせ願いたく存じます。
 
(知事)  鉄道駅舎のバリアフリー化対策についてでありますけれども、京都府におきましては、平成7年度から「福祉のまちづくり条例」に基づきまして、国の制度に先駆け鉄道事業者や市町村に対して支援をしてまいりましたし、また、交通バリアフリー法の制定以後も、引き続き国の制度を活用し、積極的に支援をしてまいりました。それにより、府域で一日5,000人以上の利用のある駅113駅のうち、72駅において段差解消済みとなっており、その解消率は64%と、全国平均の54%と比べても府域の改善は着実に進捗をしつつあります。
 国の基本方針による平成22年までの段差解消の実現に向けましては、さらに鋭意取り組んでまいりたいと考えておりますが、駅舎の全面改築による橋上化やホームの拡張を要するなど、単にバリアフリー施設を整備するということでは済まない、そういう事情を抱えている駅もあるなど、残された課題は大変大きいと思っておりまして、引き続き交通事業者との密接な協議を進める努力をしてまいりたいと考えております。
 また、バリアフリー化の効果的な推進のためには、駅舎整備のみならず、駅舎を中心としました周辺全体の面的な整備を進めることが重要でありますので、そのために市町村がまちづくりの一環として基本構想を策定し、計画的に事業を進めていくことが重要であります。
 府といたしましては、これまでから、関係市町村に対し基本構想の策定を働きかけており、さらに本年、交通バリアフリー法の改正に伴い対象施設の範囲が大幅に拡大されたことを踏まえまして、国、さらには府の関係部局と一体となって連携し、市町村が抱える課題や情報交換の場としてセミナーの開催を計画するなど、バリアフリー化に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
   自動車運転代行業について
   次に、府民の安心・安全に関連をいたしまして、警察本部長に自動車運転代行業についてお尋ねをいたします。
 私は、さきの決算特別委員会の書面審査におきましても、自動車運転代行業について質問をさせていただきました。本件は、平成14年6月1日から施行されました「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律」に基づくもので、自動車運転代行業の定義は、他人にかわって自動車を運転する役務を提供する営業であって、主として夜間において、酔客にかわって自動車を運転する役務を提供するものであること。また、酔客その他の役務の提供を受ける者を乗車させるものであること。さらに、常態として、当該自動車等に当該営業の用に供する自動車が随伴するものであることが規定をされているのであります。すなわち、端的に言いますと、自動車運転代行業は、お客さんである酔っぱらった利用客の自家用車を業者が運転をし、当該お客さんを同乗させ、その後ろを業者の車両が追走してお客さんを目的地まで送り、その後、追走してきた業者の車両に同乗して会社に帰るという業務なのであります。
 同じような業務形態としてタクシー代行業というものがありますが、タクシー代行業は、第二種免許を所持したプロのドライバーが酒に酔ったお客さんをタクシーに乗せて、別のタクシードライバーがお客さんの自家用車を自宅などの目的地まで運ぶ業務であり、その大きな違いは、酒に酔ったお客さんをそのお客さんの車に乗せるか乗せないかという点であります。
 さて、ここで私が問題意識を抱くのは、長い歴史のあるタクシー事業者に比べ、新たな法整備によって認定制度となった自動車運転代行業は、幾つか慎重に検討しなければならない課題等もあるのではないかと考えるのであります。例えば、第二種免許の所持要件だけでも、当然、タクシードライバーは第二種免許所持に限定されますが、自動車運転代行業は、平成16年6月から、酒に酔ったお客さんの自家用車を運転しようとする者は第二種免許の取得が義務づけられてはいますが、営業行為の絶対的な条件ではないという点であります。
 そこで、まず、府内における自動車運転代行業の現状はどのようになっているのか、お伺いをいたします。
 また、安全対策面での徹底した業者への指導強化と、人命を預かっていることへの意識の高揚が極めて重要と考えますが、警察本部長の御所見をお伺いいたします。
 さらに、新規事業ゆえに営業内容等が利用者に定着していないことから、悪質な料金を要求したりすることも懸念され、営業実態の把握等も必要になってくると思われますが、本部長はどのような業務執行上の管理体制が必要とお考えか、お伺いをいたします。
 
(警察本部長)  稲荷議員の御質問にお答えいたします。
 まず、府下の自動車運転代行業者の現状でありますが、本年10月末現在、16事業者が公安委員会の認定を受け、19の営業所で代行業を営み、従業員数は243人、使用されている随伴用自動車は85台であります。
 次に、安全運転対策面での指導と意識高揚についてでありますが、警察においては、運転代行業を営む者に対し、関係法令の遵守、安全運転管理者の選任、業務中の事故により発生した損害を賠償するための保険契約の締結状況等について、指導・監督を行っております。
 また、他県で発生した運転代行業者に係る死亡事故の事例をとらえて注意を促すなど、業界における交通安全意識の高揚に努めております。
 さらに、運転代行業の業務の適正な運営を確保するため、報告の徴収と立入検査を行い、運転日誌等簿冊の備えつけ状況、事業所における認定証の掲示と料金表の表示状況、利用者に対する料金等の説明状況などを点検・確認しております。
 なお、運転代行業に係る苦情などに対しては、その都度事実を確認するなど実態把握に努めているところでありますが、現在まで、関係法令に違反し、営業の停止・廃止の処分に至った事例はございません。

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 地元課題について
   最後に、私の地元問題についてお尋ねをいたします。
 知事には、私の地元・亀岡市の河原林地区における国営農業再編整備事業並びに農業集落排水事業の積極的な推進に鋭意お取り組みいただき、京都府を初め、関係各位の御努力・御尽力に深甚なる敬意と感謝を申し上げる次第であります。
 この両事業の完成は、長年の地域課題でもありました、農業基盤の整備と生活環境の向上に大きく貢献するものとして、地元住民から大きな期待が寄せられているところであります。しかしながら、一方では、新たな問題が地元住民を悩ませているのであります。と申しますのは、近隣の養豚場から発生する環境汚染問題であります。養豚場から放流されましたふん尿等が河川を汚染し、また、その悪臭により地元の住民は耐えがたい苦痛を強いられており、事態の早期改善を求める声が日を追うごとに高まってきているのであります。
 養豚場の運営につきましては、平成11年に施行されました「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」によりまして、畜産施設の適正な管理を義務づけており、あわせて「水質汚濁防止法」では、事業所の一日当たりの放流量が50立方メートルを超える場合に規制基準が適用されるところ、京都府では「水質汚濁防止法に基づく排出基準に関する条例」におきまして、さらに厳しく放流量を30立方メートルにされているとお聞きいたしておりますが、そもそも桂川のような一級河川でも小さな農業用水路でも、30立方メートルという同じ放流量が規制基準であるということ自体に矛盾を感じざるを得ないのであります。
 仮に、法律上は違法行為でないとしても、地元住民の安心・安全な生活が著しく脅かされているのは紛れもない事実で、本府での強力な行政指導並びに京都府独自の条例制定等も視野に入れての具体的な取り組み方策につきまして、知事の御決意をお伺いいたしたいと存じます。
 
(知事)  次に、養豚場における畜産環境問題についてでありますが、家畜の排せつ物につきましては、これを適正に管理し、堆肥として地域農業を支える土づくりへの活用を図りながら、環境への影響をできる限り少なくしていくことが大切であるというふうに考えております。
 京都府におきましては、平成7年3月に制定した府独自の「京都府環境保全型畜産確立基本方針」に基づき、環境との調和を目指し、家畜排せつ物の発酵処理施設や汚水処理施設の整備等の指導に努めてまいりました。御指摘の養豚場につきましても、亀岡市とも連携して指導を行う中で、これまでに沈殿槽の整備等がなされてきたところであり、平成11年に制定された「家畜排せつ物法」に定める管理基準にも沿ったものとはなっているところであります。
 排水規制につきましては、府の上乗せ条例で、一日平均排水量が30立方メートル以上の施設を対象に、生物化学的酸素要求量(BOD)等の項目について独自に規制を、これは上乗せで立てているところでありますけれども、当該養豚場につきましては、排水量がこの基準に至らずに適用対象外となっているため、これまでから、ふん尿の適正処理などにつきましては個別に指導を行ってきたところであります。
 しかしながら、悪臭の発生や排水路の汚濁など、現に地域環境への影響が認められますので、京都府といたしましては、一層の改善措置が必要と考えており、家畜排せつ物をおがくずに吸着させる汚水を出さない飼育方式の導入や汚水処理施設の整備など、府内の養豚農家において進めてきた方法により、環境に配慮した施設への改善に向け、まず指導していきたいというふうに考えております。
 また、あわせまして、当面の対応といたしまして、少しでも環境改善につながりますよう、引き続き亀岡市と連携して、沈殿槽の定期的な汚泥の除去等、既存施設の機能が十分発揮されるよう指導を強めますとともに、排水規制につきましても、今後こうした取り組みを進める中で、他府県の条例なども参考にしながら、規制のあり方について検討してまいりたいというふうに考えております。
   知事並びに関係理事者の方々から大変積極的な御答弁をいただきまして、感謝申し上げたいと思います。
 ただ、1点だけ。先ほど、知事からお答えをいただきました、特に私の地元課題でもございます養豚場のふん尿の処理場の問題につきましては、知事自身から大変前向きなお答えを賜りました。特に、「個別の指導をしていく」、あるいは「他の府県の条例等を参考にして検討を深めたい」という大変ありがたいお言葉を賜りました。感謝申し上げたいと思います。
 この川東の養豚場の問題に関しましては、きょうまで川東4町を中心に集落排水事業を鋭意進めていただきまして、地元の住民からいたしますと、まさに農業・農村の基盤の整備を進められることによって、これからの豊かな農村社会を夢見ているわけでございます。そんな中で、昔のような清流が何とかこの国営圃場整備や集落排水の事業とあわせて取り戻せることを期待していたわけでございますけれども、残念ながら、まさに予想外のこういう事態に今、住民は直面いたしております。ぜひ、住民のその思いにこたえていただきますように、早急な対応をお願いしておきたいと思います。
   企業誘致助成金制度の見直しの問題について
   それから、もう1点要望させていただきますが、本府の企業誘致助成金制度の見直しの問題であります。
 この問題に関しましては、過日の決算特別委員会の総括質疑でも質問させていただきました。知事からは、「業種要件の見直しを含めて総合的に検討を進めていきたい」という大変前向きな御答弁を賜りました。この補助要件の見直しというのは、私は、亀岡市のこれからの浮沈をかけた大変重要な部分だというふうに思っております。とりわけ亀岡市は、広域南丹の一つのエリアに包括された町でございます。同じ南丹広域振興局管内の市でありながら、他の市とこのあたりの取り扱いが異なるということは、私は非常に問題意識を持っております。
 今後、この点につきましても、改めて改善をしていただきますように強く要望いたしまして、私の質問を結びたいと思います。
 ありがとうございました。

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